「係長」だから残業代はない?

【Q&A】

私Sはホテルで4年近く働いています。入社1年後「係長」に昇格しました。ところが、何時間働いても時間外勤務手当が付きません。会社は「係長は<管理監督者>であり、経営の立場にある。手当は付かない」と言っています。係長手当は月3万円。残業はこの半年間、月100時間を超えています。
会社が残業代を出さない理由の大きなひとつが<管理監督者>だから、というもの。労基法41条に時間外手当非該当者が列挙されていて、そのひとつがこれです。しかしこの<管理監督者>は行政解釈としても厳密で、「経営に関与している、職務時間の拘束を受けない(出退勤に自由裁量権がある)、例えば工場長や銀行の支店長職以上」となっています。肩書きでなく実体で判断されるということです。
Sさんは正社員3人と十数人のパートアルバイトいる部署で、しかも3人とも係長や課長代理。全社250人のうち約半数が係長職以上という異様な状態。Sさんの会社のように係長手当が残業代に到底満たない場合、残業代不払いのために肩書きを乱発しているものだと考えられます。
繰り返しますが、会社は原則時間外手当は支払わなければなりません。例外である手当適用除外は厳密で、裁判例も圧倒的に支払い命令が多いのです。外食チェーンの店長職は管理監督者でない、などの判例はその代表例といえます。