北大阪ユニオンニュース№226

北大阪ユニオンニュース№226 2020年6月

新型コロナ関連、労働相談受付中!

生命・生活・権利を守り抜こう!!
影響はますます広範囲に及び深刻化

新型コロナの緊急事態は解除されましたが、経済・社会活動が完全に元に戻るのには、かなりの時間がかかりそうです。と言うよりも、「元に戻る」ことがあるのかどうかが分からない。例えば観光関連~ホテル、観光バス、外国人観光客向けのみやげ物屋等々は、外国人観光客が昨年並みに戻るのがいつになるのか、全く見通せません。飲食店も、お客さんが戻りつつあるとはいえ、席数を減らす等々により、元通りになるのはまだまだ先。多くの会社で時間外労働がほとんどなくなっており、手取りの収入がダウンすれば、例えば住宅・教育などローンを抱えている人は、途端に生活破綻の危機に陥ります。これから先、影響はますます広い範囲に及び、深刻化していくものと思われます。
新型コロナ関連での相談~解雇、雇止め、シフト減、休業手当を支払ってくれない、子どもの休校に伴い休んだら不利益取り扱いを受けた、感染予防がいい加減で不安・・・等々、どんなことでも結構です。お気軽にご相談ください。
少なくとも法令を守らせることができれば
今のところ、なぜか北合同にはコロナ関連の相談が少ないのですが、これまで寄せられた中では、
①観光バス運転手さん。1月以降、仕事がほぼゼロになった。
②保育所勤務の看護師さん。職場の感染予防がいい加減で、子どもたちの間で感染が広がらないか心配。
③期日を定めず退職を申し出ていたところ、いきなり「明日で辞めてもらいます」と言われ、翌日から店が休業。ところが離職票は本人都合で処理された。
・・・等々。他のユニオンに寄せられた相談では、「休業手当を払ってくれない」「シフト減で給料がガタ減り」といった相談が多い、とのことです。
特にアルバイト・パート勤務の場合、
①本来加入すべき雇用保険に加入していない(週20時間以上・6ヶ月以上の勤務が見込まれる場合は加入義務あり)。
②年次有給休暇も全く与えられていない。
③いきなりの解雇なのに、解雇予告手当すら支払われない。
・・・等々、コロナ云々という以前の問題として、まともに法令が守られていない場合も少なくありません。たとえ経営側も厳しい状況だとしても、少なくとも法令を守らせることができれば、最低限度、「ないよりマシ」程度ではありますが、労働組合での交渉で生活保障させることもできます。
組合員の皆さん! ご家族やお知り合いの方も含めて、新型コロナ関連での仕事をめぐる困りごとがあれば、まずは、なにはともあれ、両支部までご連絡ください!

【活動報告】

《コミュニティユニオン・ネットワークより》

関西ネットワークで大阪労働局へ申し入れ
6月5日、コミュニティ・ユニオン関西ネットワークで、大阪労働局に対し、新型コロナに関連する諸問題について、改善を求める申し入れを行いました。「労働者本人申請・労働者本人へ直接給付の新たな制度を」「休業手当金の計算方法の改定を」「離職事由の認定は労働者本人申請を優先して」等々の項目です。大阪労働局に手渡したものと同じ文書を、東京の厚生労働省本省あてにも郵送しました。
6月24日には、大阪労働局の職業安定部・労働基準部と“意見交換会”を行い、特に職安(ハローワーク)での窓口対応における杓子定規な対応に改善を求めました。例えば、新型コロナの影響で、シフトが減らされたり、休業手当金(法定下限の6割だと月収では半減以下に)しか出ないため失業手当をもらうために自ら退職したという場合、離職票上は自己都合退職で処理されることの理不尽を強く訴えました。
6月5日の要望書提出後は、JR天満駅横の天神橋筋商店街で街頭宣伝も行いました。(K)

全国ネットで最賃引き上げ署名を提出

6月22日、コミュニティ・ユニオン全国ネットは、「最低賃金を全国どこでも今すぐ1,000円、できるだけ早急に1,500円に」と求める署名7,803筆(中央最低賃金審議会会長あて)を提出しました。現在、最低賃金(時給)は大阪府で964円、全国平均では901円。一番高い東京で1,013円、一番低いのは790円ですが、なんと15県も! 年々差が拡大しており、首都圏への転出で地方では人口減・高齢化加速となるのは当然。地域格差の是正を求め全国一律の最低賃金を求める声は、自民党国会議員の中でも広がっています。最賃審会長に直接手渡しができなかったため、厚生労働省本省の職員に託す形となり、あわせて、簡単な交渉も行いました。
コロナ禍の影響で経済危機が深刻化するなかで、財界からは、「今年は最賃引き上げは無理」との声も出始めています。とんでもないことです。各地のユニオンでの労働相談からは、非正規労働者の多くは最低賃金スレスレで働かされており、最賃が引き上げられた分だけ少し昇給する、というのが実態。文字通りの意味で「食べていくだけで精一杯」で蓄えなどできるはずもなく、コロナの影響で休業が増えると、即、生活破綻となってしまいます。最賃引き上げを据え置くことは、その状況を放置することに他なりません。低い最賃は、賃金統計などで平均賃金を引き下げ、全労働者の賃金水準が上がりにくい構造をつくることになってしまいます。
最低賃金の大幅引き上げを求めていきましょう!(K)

【労働相談から】

先輩社員がこまごまと嫌がらせ…
派遣労働者の女性からの電話相談。派遣先での嫌がらせ。今いる先輩社員(派遣先企業の直接雇用)がかなりの年配で、そう遠くない将来、辞めるだろうから、仕事を引き継ぐという含みで働き始めた。ところが、その先輩社員にとっては、「自分の仕事が奪われる」と感じるのか、こまごまとつまらない嫌がらせをしてくる。それはガマンできなくもないとして、仕事を全く教えてくれないので弱っている、と。
すでに派遣元企業には相談しているが、埒が明かないようだ。弱い立場(文句を言いにくい立場)にある派遣労働者にとっては、特によく起こり、また深刻化しやすい問題。組合に加入し、相談しながら、派遣元・派遣先双方に改善を求めていくのが良いとアドバイスした。
その他にも電話相談あり。新規組合加入もあったが、コロナとは無関係のものばかり。どういうわけなんだろうか・・・???(K)

【闘いの現場から】

《T交通》コロナ対応で給与が最賃を下回る !

T交通は高槻市・茨木市周辺を拠点に営業するタクシー会社。会社は新型コロナウィルス感染拡大による「非常事態宣言」を受け労使協議の結果、勤務変更を実施することになった。その結果、拘束時間(実働時間)の大幅短縮と出入庫時間の制限で売上げが激減し、歩合制のため給与が大幅に減額してしまった。3月には時給千百円以上確保できていたものが、4月には最低賃金を割り込み、5月には更に減額して通常の三分の一程の手取りしかない。これでは生活の保障ができないとTさんは組合に相談に来た。
タクシーの乗客が激減する中、他のタクシー会社は雇用調整助成金などの補助金で乗り切ろうとしているが、T交通は資金がないために補助金申請もできず、労働者への給与カットの強行で凌ごうとしているようだ。何より辛いのは、この状態が一体いつまで続くのか全く先が見通せないことだ、とTさんは嘆く。会社の御用組合には頼らず北合同に加入し、とりあえず加入通知書を会社に送り様子を見ることになった。(小)

《㈱茂茂》社内調査で社長のパワハラが明らかに !

島本町の清仁会水無瀬病院の関連会社㈱茂茂に勤務したTさんは、社長からのパワハラが原因で躁うつ病を発症し休職せざるを得なくなったが、2ヶ月近く経った3月中頃になって会社から退職予告が届いた。就業規則では連続休職2ヶ月後には自動退職となっているが、Tさんは納得できず、組合に加入し会社に休職期間延長の要求書を送った。
しかし代理人弁護士より全面拒否の回答があり、団体交渉を要求して4月1日に団交を行った。団交で社長にパワハラの認識がないことが明らかになり、会社が社内聴き取り調査を行い、その結果によりTさんの処遇を考慮することになった。
その後代理人弁護士からヒアリング調査結果と回答が届いたが、「調査の結果、社長からのパワハラはなかった、組合員のうつ病の原因は業務外と認められる」という内容だった。調査では10人の社員への詳細なヒアリング結果が出されているが、特に際立って社長のパワハラらしきものの証言はない。しかし、パワハラの証拠として成立するような発言も見受けられた。例えば、社長が朝礼時間の半分を組合員への叱責に費やしたことが何回もあるのを複数の社員が証言している。これは同社の「ハラスメント防止規程」に書かれたハラスメントの禁止行為の例そのものであり、ほかにもパワハラがあったと判断できる部分もあり、組合はこのヒアリング結果は社長のパワハラの証拠になると確信し、会社が今後の団交を拒否するなら不当労働行為で訴えるつもりである。
但し組合員は失職中で解決金による早期解決を望んでおり、また退職を受け入れる代りに退職日を5月末日とするよう要求している。(小)

《松田精機》立て続けに2件連続の勝利的和解

3月から争議をしてきた松田精機の不当解雇問題。解雇無効を訴えて団体交渉と会社前での宣伝行動を重ねた結果、最終的に金銭和解で合意となりました。松田精機とは昨年末から立て続けに2件連続の勝利的和解。会社も人を雇うということの責任の重さを少しは理解したのではないでしょうか。以下は当該Kさんの報告です。(鈴)
次は私がお役に立てればと団交などに参加
川西市にある松田精機で不当解雇されたKです。この度、和解が成立しましたのでご報告いたします。当初は解雇の撤回と職場復帰を要求していましたが、今後の生活再建を考え、年収1年分を超える和解金の支払いで和解しました。これで無理にあせることなく、次の人生を歩む計画を立てることができます。すべて北合同の全面協力のおかげです。
北合同には、高度な知識や豊富な経験、そして行動力を持ったメンバーが多く、皆さんで私を支えていただきました。おかげで、一人では精神的にも、肉体的にもつらかったところ、納得のいく和解案が提示されるまで戦い続けることができました。本当に感謝しています。
退職した現在は、次は私がお役に立てればと考え、EDPの団体交渉や、聖美会の宣伝活動に参加させていただいています。この機会に、北合同で知り合った方々から多くの知識を吸収し、また今しか出来ない経験をして、成長したいと考えています。

《イーディーピー分会》売上1.5倍なら賞与も大幅アップを!

イーディーピー(人工ダイヤモンド製造業・豊中市)と夏季賞与について団体交渉。以前は倒産の危機にあったイーディーピーだが、幸いにもここ数年は好業績で順調に黒字が続いている。特に今回の賞与査定期間となる半期は最高売上を更新し続けている(前回半期より1.5倍の売上アップ)。ならば賞与の大幅アップは当然!
給与1.5か月分を基準に支給するよう要求したが、会社側は「現状コロナの悪影響はほぼ受けていないが今後何が起こるかわからないので賞与アップは難しい」としょぼい回答。賞与は賃金の後払い的な意味合いもあるので、査定期間の好業績を反映すべき。そもそもコロナ禍の中でも高い売上を維持できたのはウイルス感染の危険を冒しながら通常通り出勤し続けた従業員の功績が大きく、危険手当的な要素も加算すべきだ!との至極真っ当な組合の主張に会社は反論できず、「意見として参考にさせてもらうが、賞与の額を決めるのは会社の専権事項であり…」と逃げの態勢に入った。賞与支給日まで時間がなく再度交渉するのは難しい。どうやって対抗すべきか考え中。(西)

《B社/S会》弁護士の対応に経営側委員も困惑?!

美容整倦を全国8カ所で展開する医療法人の子会社での解雇事件。本体のS会が団体交渉に応じないため、府労委に不当労働行為で申し立て。コロナ禍でひと月以上遅れた3度目の調査が6月2日に開かれたが、聖美会側からはまたしても何の権限もない若いスタッフが1人で。相手側弁護士の都合に合わせ期日を設定したのに、前日にドタキャンとのこと。「委任状をまだ出しておらず、正式な代理人ではないんだからいいでしょ?」という態度に、経営側労働委員も困惑。本院前での街頭宣伝も続け、圧力を強めていく。(K)

《M社(非公然)》正社員3名が揃って組合加入

北摂地域の某社で、正社員3名が揃って組合加入。従業員は、ほかにアルバイト3名がいる以外は全て社長の親族。低賃金、長時間労働、残業代不払い、年休もなし等々、労働条件も酷いのだが、日常業務でも、親族同士が不仲で指示がバラバラ、指揮命令系統も不明確、業務のスケジュール管理もまったくデタラメ。当面、非公然のまま、会社にまず何から要求していくかを3人で相談し、公然化のタイミングを考える。(K)

【支部報告】

◇高槻支部

5月の支部会議には7名の組合員が参加し、Tさんの休業延長の問題の経過報告などがありましたが、相変わらずコロナ関連の労働相談は無しでした。5月下旬になって前委員長中川さんより、10年前に扱ったタクシー会社T交通の旧組合員Tさんから相談があるという連絡が入りました。会って話を伺うとコロナ関連の相談でした。内容は闘争報告に書いていますので、ここでは10年前の話を少し紹介します。
当時T交通には既に全自交を始め4つの労働組合が存在していましたが、そこにTさんたち4人が北合同で組合を作り、労働条件の改善要求、春闘要求等を始めたのです。その後会社は移転することになり、その中で組合事務所の確保要求など会社と交渉を続けていました。現在労働組合は2つになったようですが、会社の御用組合であるのは旧態依然のようです。今回の余りに酷い事態に再び立ち上がったTさんを応援、働く者の救済を求めて共に頑張ってゆきましょう。(小)

◇豊能支部

5月24日に高槻支部と合わせて「コロナ関連電話労働相談会」を開催しました。前日までにティッシュは計1000枚ほど配り、ネット上でも宣伝。当日は各支部3名ほど事務所に張り付いて電話対応に当たりました。結果相談は0件でした。とんだ骨折り損のくたびれ儲けです。やはり新聞なりテレビなりに取り上げてもらえないと厳しいですね。しかし電話相談会自体は定期的にやっていく方向です。 (鈴)