北合同ニュース№225

北合同ニュース№225 2020年5月

新型コロナ危機―あらゆる方策を講じて生命・生活・権利を守り抜こう!!

幅広い業界・業種で深刻な影響

新型コロナウイルスの感染が拡大しています。すでに感染者(PCR検査での陽性確認者)は1万人を大きく超え、死亡者も400人台に突入。志村けんさん、岡江久美子さんら、広く知られた芸能人も亡くなり、テレビでは(スポーツや音楽その他のイベントがほとんど中止されているせいもあり)連日コロナ一色。否が応でも不安が高まっています。
学校の一斉休校が始まったのが3月初旬。4月8日には非常事態が宣言され、当初期限の5月6日からの延長もほぼ確実。市民に対しては外出の自粛が要請され、パチンコ店・カラオケルーム・学習塾などに休業を要請、飲食店にも時短営業(夜間休業)が要請されています。幅広い業界・業種で深刻な影響が及んでおり、とりわけ飲食店は軒並み壊滅的打撃を受けています。感染拡大は世界中に及んでおり、原材料や部品の調達も輸出先も国外に多くを依っている製造業でもライン停止などの影響が出ています。
一方で、補償については貧弱な上に遅く、閉店・倒産が爆発的に増える懸念が強まっています。労働者も、まずは派遣労働者の派遣切り(解雇・雇止め)、アルバイト・パートのシフトの大幅削減が押し寄せており、正社員にも影響が及ぶことは必至です。
「反貧困ネットワーク」などが行った全国一斉電話相談では、4万8千件もの相談があり、しかもその数は、全体のたった2%(98%は何度電話してもつながらなかった)。北合同も加入するコミュニティ・ユニオン(CU)関西ネットワーク加盟のあるユニオンが行った相談会でも「会社から仕事を休むよう言われたが、休業補償してくれるのかどうかはっきりしない」「派遣で働いているが切られた」「会社が感染予防をきちんとしてくれない」等々、深刻な相談が寄せられています。北合同では今のところ、あからさまな「コロナ関連」での相談はほとんどありませんが、既存組合員の職場での時差出勤等をめぐるトラブルや、新規相談で本人は認識していないがコロナが関係しているのではと疑われるケースはポツポツ出始めています。

広く情報共有・意見交換を進めながら

リーマンショックの比ではない、かつて経験したことのないほどの経済危機となることは確実。実際に深刻な経営状態となる会社が激増する中、労働組合としても、労使交渉で「解雇は許さん!」「休ませるなら休業補償しろ!」と会社を突き上げるだけではどうにもならず、使用者・経営側に対して事業者向け支援策を活用するよう求めたり、場合によってはまず経営側を支援して事業を継続させることで労働者の雇用・生活を守る、といった対応や、生活保護など通常の労働問題を超えた諸施策のフル活用、国や自治体に対して生活保障のための施策を求めるなど、これまでとはかなり違った動きが必要となってきます。
CU関西ネットでは、4月13日に厚労省大阪労働局職業安定部と交渉しましたが、新規施策や既存施策の新基準などが連日のように発表され、出先機関と交渉しても担当者自身が「本省から正式な通知も事務要領も届いておらず、テレビの報道以上のことは分からない」という状態。4月の代表者会では、①全国ネットと連携を強め、厚労省などへの要請・申入、②幅広い分野での様々な施策をフル活用できるよう、京阪神地域で「反貧困ネット」(生活保護・野宿者・シングルマザー・外国人などの支援団体のネットワーク)等と情報共有・意見交換を進め府県や市町村への要請・申入、などを確認しました。早速、4月30日には「反貧困ネット」のオンライン会議に関西ネットから代表者が参加したほか、5月16日のCU全国ネット運営委員会には関西ネットからも代表が参加し、情報共有・意見交換する予定です。

安倍政権を打倒しないと殺される!

安倍政権は、自粛を求めておきながら補償はしないというふざけた態度。特に、基準や審査を必要としない一律給付については全く消極的。全国からの悲鳴と怒りで、ようやく「1世帯30万円」、後にこれを撤回して「1人10万円」の給付を決めましたが、「申請する人だけに給付」に固執し、申請用紙の印刷や郵送等に時間がかかるため、全国ほとんどの自治体で実際の給付は5月末から6月にズレ込む見込み。国内外から怒りと嘲笑を招いた“アベノマスク”(感染防止に役に立たないとWHOが明言している布マスクを466億円もかけて配布)では、社長が脱税で有罪判決を受け執行猶予中で経営実態すら定かでない怪しい企業に発注していたことが明らかになっています。「モリ・カケ・サクラ」に典型的に表れているウソ・隠ぺい・改ざんの安倍政権の体質が、危機を一層深刻化させていることは全く明らか。しかも安倍政権は、この大変な状況で、火事場泥棒さながらに憲法改悪まで企んでいるのです。
コロナ危機にあって、労働者の生命と生活と権利を守るために、目の前の個別の問題に全力で取り組んでいくことは当然として、破局を回避するためには、アベを1日でも早く政権から引きずり降ろさねばなりません。厳しい状況ですが、ともに生き抜きましょう!

【活動報告】

高槻市議会、市バス高齢者無料パスの一部有料化を可決

昨年12月に突然市議会に提案された市バスの高齢者無料パスの一部有料化案(無料だった70~74歳が1乗車100円負担に)は、賛成多数で可決されてしまった。50年近く続いた同制度の変更について市民団体が市へ説明会の申し入れをするも、市はこれを拒否。さらに市民団体が取り組んだ制度改悪に反対する請願署名は、わずか3カ月間でおよそ29000筆も集めたが、これも市議会で否決され、市長と市議会多数派の市民無視の姿勢が際立った。
高槻市営バスは借金無しで、剰余金が32億円もある全国屈指の財政優良企業である。にもかかわらず、なぜ拙速に有料化に手を付けたのか。その理由を示唆する資料を情報公開請求で入手した。資料は市が内部で開いていた「市バス民営化検討会議」の議事録なのだが、そこには「赤字だと資産価値がないので民間移譲は難しいのではないか」「黒字のうちに民間に移譲するほうがよい」といったやりとりが記録されていた。つまり、無料パスの有料化で、今後乗客減が見込まれる市バス財政のテコ入れを行い、黒字を維持させたうえで民営化に踏み切る。すでに民営化のためのスケジュールが用意されていて、無料パス有料化はその足掛かり、ということだ。市議会でこのことを指摘したが、市からなんら否定も反論もなかったため、その蓋然性は高いとみている。
有料化を許したことは非常に残念であったが、次は民営化をさせないための動きが必要になる。(高木)

メーデー万歳 !―豊中駅と十三駅で北合同独自街宣

毎年5月1日はメーデーです。今では「労働者の祭典」などと説明されますが、その由来は1886年にアメリカのシカゴを中心とした労働者たちが、8時間労働制を求めて闘ったストライキにあります。その当時、12時間から14時間労働が当たり前の時代。ストライキを行った労働者たちに対して警察が発砲し、多くの死傷者がでました。主導者たちは逮捕され、死刑にされました。
労働組合が弾圧される時代は、なにも今始まったものではありません。職場の中で主権を獲得しようとする労働者の運動は、使用者(資本家)の独断専行を妨害するものとして、賃労働が生まれた当初からずっと嫌悪され、弾圧されてきました。その弾圧に屈せずに闘ってきた先人のおかげで、労働三権が憲法に示され、労働組合に特別な権利が認められ、日々の私たちの活動があることを改めて心に刻みたいと思います。ちなみに1886年、日本には憲法も国会もなかった時代。そんな時代に海の向こうではすでに労働者たちがストライキを闘っていたのですね。そう考えれば日本の労働運動はまだまだひよっこ。伸びていくのはこれからだと思って、がんばっていきましょう。
さて、私たち北合同は毎年「中之島メーデー」に参加しているのですが、みなさんご存じの新型コロナウイルスの影響で今年は規模を縮小。「あんまり大勢で来んといて」的な感じだったので、それならいっそ自主開催することにしました。5月1日当日、10時から豊中駅前でビラを折りこんだティッシュ配りをしつつ、マイクでアピールを行いました。豊能支部から総勢5名。人はまあ少ないながらもそこそこ歩いていて、受け取りや反応は上々でした。ティッシュ配り中に通行人から「夫が営業職なのだが、会社が感染対策を取ってくれない」といった相談が寄せられました。
その後11時から十三駅に移動し、改札を出てすぐのところで再びアピール。高槻支部のメンバーとも合流し、総勢7名で配ったところ、あっという間にティッシュがなくなってしまいました。十三駅の方がやはり若い人は多いですね。12時頃に終了し、近くのお店でソーシャルディスタンスを取りつつランチを食べて解散しました。
「補償なき自粛要請」で経済が疲弊していく中で、労働者にそのしわ寄せが集中し、数えきれないほどの労働問題が噴出している今こそ、私たちのような個人加盟のユニオンが外に出ていくことが求められていると思います。引き続き宣伝活動を積極的にやっていきましょう。団結に敵なし!メーデー万歳!(鈴)

山下けいきさん、惜しくも次点―茨木市議補選

4/12投開票の茨木市議補選は、北合同が支持していた山下けいきさんが惜しくも次点で落選となった。3議席を7人で争う激戦だったが、維新が2、自民が1議席を獲得する最悪の結果に。選挙戦の主だった争点は乏しかったが、維新は市民会館の建て替え費用が高額だと批判していた。しかし、現職の維新会派は建て替え予算に賛成していたとのこと。安定の維新クオリティである。
同時に行われた市長選では、元官僚の維新候補が、現職に1万票以上の差をつけられて落選したことは、少しの救いだったかもしれない(かといって現職市長は維新よりマシな程度だが)。いずれにしろ、「本チャン」の茨木市議選は8か月後の来年1月に控えている。そこで山下さんにはぜひとも市議会に復帰してもらいたい。(高木)

検査も受信も拒否で2週間たらい回し

39度の高熱が出た同僚のMさん。2日経っても下がらず持病もあることから新型コロナウイルス感染を疑いかかりつけ医を受診したが、「コロナの可能性あるのでうちでは診察できない。保健所に相談して」と。保健所に問い合わせると、「武漢や中国への渡航歴ある? ないの?じゃ大丈夫。かかりつけ医受診して」と言われ再度かかりつけ医を受診すると、「保健所に相談して」の一点張り→保健所「PCR検査の必要なし。え?かかりつけ医診てくれないの? 他の病院にも相談して」→病院A「うちでは無理」→B「無理」→C「保健所行って」→保健所→病院D→…と2週間近くたらい回しされているうちに何とか熱は下がったが、結局高熱の原因は分からず…これは3月末に起こった実話です! 実際に検査拒否はあります。(N)

困っている組合員にマスク差し上げます!

組合員のKKさんより白マスク100枚の寄付を頂きました。組合員でマスクが手に入らなくて困っている方がいればお渡しします。組合までご連絡下さい(枚数は相談の上と致します)。

星野征光さんを悼む

星野征光さんが4月21日に逝った。精神科医。当組合にとって「星のクリニック」院長さんとして様々な繋がりがあった。労働現場では近年とみに、パワハラ・セクハラ・イジメなど働く環境変化や疎外に起因する病気が増え、それらの対処指導の相談に乗ってもらった。また、当組合が他の組合やグループと共に組織化した「NPO関西仕事づくりセンター」の理事に就いてもらった。
私と星野医師との出会いは47~8年ぐらい前のこと。当時、星野さんは現在も在る光愛病院の青年勤務医として働き始めていた頃で、私は労働運動のかけ出し、同世代だった。当時、同病院側で野山の鳥の鳴き声、木々の匂いを嗅ぎながら語り合ったのを鮮明に覚えている。その後紆余曲折を経て、互いに高槻の地で星霜を重ねてきた。
体調を損なっておられることを知りながらコロナ禍中の時節柄、静養崎に訪ねることをためらっている時、訃報を聞いた。生前、地域を憂い、労働者を憂い、世界の虐げられた人々を憂えていた永遠の《書生っぽ》―星野征光さん。ワイングラスを固めながら、彼岸で語り合うのもそう遠くはないだろう。(特別執行委員・中川幹雄)

【闘いの現場から】

《イーディーピー分会》職場で団結して闘うことを実践!

イーディーピー(人工ダイヤモンド製造業・豊中市)では2月から今月にかけて大きな動きがあった。
①「昇給8%?」達成!
2月から昇給を求めて交渉を始めた。団交を申し入れたところ会社から「4月から8%昇給する」と回答が。え?! 8%? 今までほとんど昇給はなくボーナスも組合の要求に反発して出し渋っていたのに、なんで??と訝しがりながら交渉に臨んだところ、本当に8%昇給するらしい。更に組合の要求「賃金テーブルを作ること」もあっさり受け入れた。少しはまともな会社になってくれたのか?と期待半分、疑い半分で団交の覚書を交わそうとしたところ、「覚書には捺印しない、そもそも必ず昇給するとは言っていない」と態度が豹変し、いつものイーディーピーに戻った。勿論すぐに抗議し必ず昇給するよう強く求めたが、覚書への捺印は拒否し続けている。
4月1日、会社から渡された「賃金通知書」を確認したところ昇給率6%(他従業員もみんな6%前後らしい)。今までに比べると大幅な賃上げとなったが、8%は?? また賃金テーブルについて問いただすと、「まだ出来ていないが、今回の賃金改定から賃金テーブルを採用するとは言っていないので問題ない」と呆れた回答。約束を守れ! 引き続き賃金テーブル作成を強く要求し、賃上げの真偽についても問い正す予定。
②「特別休暇を獲得!」
新型コロナウイルスでの体調不良の場合に所得補償するよう要求し団交。そもそも就業規則に「疾病感染拡大予防のため全額補償の特別休暇を与える」とあり新型コロナウイルスにも適用されて当然だが、会社は「風邪でもコロナでも体調壊すのは自己責任。有給休暇で休め」と主張していた。
対して組合が「従業員の生活健康を守るのは会社の責任!」と主張し休業補償6割までは払うと約束させたが、頑なに特別休暇は認めようとしない。交渉は膠着状態になったが、その後従業員15人程で直接交渉担当の取締役に要求したところ一変して特別休暇を認めると。更に濃厚接触者になった場合、家族に感染者が出た場合、感染が疑われる風邪症状が出た場合などにも特別休暇を与えるとの好条件を得ることができた。
③「新型コロナウイルス感染防止対策を!
感染拡大が続く中、会社としての対策が一向に示されないことに危機感を持った現場従業員全員で上司や社長に直談判し、時差出勤、マスクの配布、消毒薬の設置などの対策を会社が取ることを約束させた。
数の力は強い。組合として交渉することに併せて職場内で組合員、非組合員に拘わらず団結して声を上げる(直接要求を伝え場合によっては問い詰める!)ことの必要性を感じた。今後は社内の組合員従業員を中心とした分会として活動していきたいと考えている。(西川)

《㈱茂茂》疾病休業による自主退職に抗議し団交 !

Tさんは島本町の清仁会水無瀬病院に7年間勤め、その後関連会社㈱茂茂に配属となった。労働条件は同様だったが、社長からパワハラを受けるようになり、躁うつ病を発症して休職せざるを得なくなった。会社の就業規則では連続休職2ヶ月後に自動退職となっており、2ヶ月近くになって会社から形式的な退職予告のみが届いた。Tさんは組合に相談し、会社に要求書を出すことにした。
Tさんによると社長はパワハラは認識し反省している様子ということだったので、その件はひとまず置いて、短かすぎる休職期間を延長するよう会社に要求書を出した。会社の代理人弁護士より要求に対して全面拒否の回答があったため、団体交渉を要求し、4月1日に団交を行った。
会社は回答書で、Tさんが退職予告相当日に会社宛にLINEで連絡したことを、退職を認めたと勝手に解釈していたので、Tさんは自動退職を認めたわけではないと抗議した。更に回答書に、Tさんの疾病は業務外の事由によると書かれていたが、会社側は社長のパワハラについてどれだけ認識があるのかを問い質した。代理人弁護士は全く知らず、社長自身はTさんに指示した仕事の遅れなどに関して認識の違いがあり注意勧告したことは認めたが、パワハラという認識はない様子だった。Tさんが、朝礼など全社員の居る前で大声で怒鳴りつけることが何日も続いたと訴えると、社長は黙り込んでしまった。結局、会社側がパワハラについて社内聴き取り調査を行い、その結果によってTさんの処遇を考慮することになった。(小)

《ニコニコ服部元町教室》残業代割増分を支払わせて決着

豊中市内の放課後等児童デイサービスでの解雇事件。登記上の所在地を大阪市北区に持つ一般社団法人が経営している。一昨年の11月からスタッフとして働いていたOさん。ある子どもがちょっとしたケガをしたことを、送迎の際に保護者に報告したことについて、「余計なことをするな!」と叱責され、突然解雇された。
Oさん本人は職場復帰の意思が全くない上、予告手当や「和解金」なるものも受け取って署名押印もしているため、解雇そのものでは争わず、①時間外労働に対する割増賃金が一切支払われていない、②「週30時間勤務」の契約なのに(実際には大幅に超えている)、雇用保険に加入していない…ことから、時間外の割増分の支払いと雇用保険の遡及加入・離職票の速やかな発行を要求。大した金額でもないので、会社はあっさりと応じ、合意書を交わした。離職票はまだ届いていないが、ハローワークでの手続きはすでに済んでおり、後は入金が確認できれば完了。(K)

《松田精機》抗議宣伝で数々の労働環境改善

今年3月、川西市にある松田精機で、不当解雇事件が発生。松田精機といえば、昨年12月にパワハラと不当な配置転換があったばかりの会社。今回は、昨年9月に入社したKさんが管理職に不適格だと判断したため解雇するというもの。解雇通知書には、Kさんの問題行動やミスが書かれてあったが、解雇理由としては弱すぎて問題だらけ。Kさんは解雇理由の詳細な説明と、根拠となる就業規則を見せるように求めましたが、会社は拒否。困ったKさんは当組合に相談。即日加入し、会社に団体交渉を申し入れました。
1回目の団体交渉は3月13日(金)、出てきたのは、またもや何も分からない役員3名。解雇を決定した社長はもちろん、関係する管理部長や総務課長さえも出席せず。もちろん役員3名は、こちらの質問に対してあっという間に回答不能で白旗をあげることとなった。
解雇は無効ということで、翌週の16・17・18日にKさんは出勤を試み、同時に宣伝活動を行いましたが、会社は出勤を妨害。おまけに不退去罪で訴えると言い、警察を呼ぶ始末。駆けつけた警察は解雇が有効でないため、何も出来ずにただ見ているだけ。
全く話にならないので、再度団体交渉を申し入れ、3月27日に実施。しかし、結局何も分からない役員3名は解雇の有効性を説明できるはずもなく、あっさりと団体交渉は決裂。話し合うことが出来ないなら、文書では?と考え、今度は会社にKさんの解雇撤回や、数々の法律違反などについての質問状を送付。また同時に宣伝活動やビラまきを実施し、従業員の皆さんに現状を何度も何度も報告し続けていきました。すると、当初は「違反なんてやっていない」と発言していた会社も、交渉過程で根負けしたのか、今まで無かった休業時の賃金補償や、入社時の健康診断、産業医の巡視、就業規則の開示、未締結の労使協定の締結を次々に実施し、最後には労働環境の改善委員会の立ち上げまで当組合に約束しました。
そしてKさんの解雇については現在、会社から前向きな和解案が提示されはじめています。「もし一人だったら、今頃は心が折れて泣き寝入りしていました。すばらしい仲間に出会え、助けてもらったから、交渉を続けることが出来ている。組合には感謝しかありません」とKさんは語った。Kさんの生活再建のため、Kさんの納得が出来るまで、会社との交渉を続けていきます。(鈴)

【労働相談から】

コロナ感染拡大も解雇理由の一つ?
豊中市内のバーのバーテン・Aさん。法人格はあるが、社員は社長とAさんのみ、事実上の個人経営。1年半ほど働いてきたが、社長と反りが合わず、解雇された。Aさん自身もやや嫌気がさしていたこともあり、退職自体は受け入れたが、社会保険料を取られ過ぎていたことと、離職票をなかなか送って来ないことから、北合同に相談。解雇通告を受けた際に、コロナのことは全く話に出なかったそうで、Aさん自身も別の問題という認識だが、通告が3月31日、翌4月1日からは店を閉めている。コロナ感染拡大も理由の一つかもしれない。実際、その後4月8日からは緊急事態となり、アルコールの提供は午後7時までに。このバーは開店が8時なので、営業不可となっている。
退職自体を争う気はないとのこと、問題は離職に伴う手続きだけなので、わざわざ組合に加入しなくても、電話で適正処理を求めれば済むと思っていたところ、なんと、社長はコロナの疑いで自宅静養中! Aさんが職安に出向き、その旨を説明したところ、離職票なしで受け付けてくれた。当然で妥当な判断だ。住居確保給付金の申請もできることになり、ひとまずホッとした(あくまで「ひとまず」だが)。(K)

「労働者は丁稚か使用人」…
北摂地域の建材店。主に生コンを取り扱っている。休みは日祝のみで土曜も出勤、長時間労働で残業代もなく、正社員も日給×勤務日数で計算しているので月によって額が変動し、年休も慶弔などの特別休暇も有給休暇は一切なし。病気で寝込んでも、あらゆる休みは全て無給。正社員とアルバイト合わせて10名ほどの小さな会社で、社長(先代の息子)、先代社長の弟など、経営は全て親族が仕切っている。「会社は親族のもの、労働者は丁稚か使用人」という前時代的な社風だ。
そもそも、定時で働いても週40時間をオーバーしているわけで、法律を守るつもりなどハナからないらしい。親族を除くと3人しかいない正社員が全員揃って相談に来たので、組合に加入しまともな労働条件を獲得すべく会社と交渉することを強く勧めた。(K)

【支部報告】

◇高槻支部
4月10日の支部会議には7名の組合員が参加した。Tさんの労働相談、団交の経過報告があったが、今のところコロナ関連の労働相談等はなく、元食品新聞社のIさんの裁判が延長になったことくらいだった。
学習会では、休業拡大による働き手の支援対策の記事を読んだ。会社への雇用調整助成金、休業補償、臨時給付金などあるが、どれも今一つ。政府は「一括10万円給付」を決定したが、今後の労働環境の悪化を予測すれば、これはとりあえず最低限の支援だろう。日本労働弁護団のコロナ対策の報告資料、全国ユニオンの新型コロナ関連の労働相談集計も参考としたが、休業が長期化する中で労働者の生活が破たんしつつあり、相談が深刻化している状況が伝わってくる。
組合員の中にも在宅で仕事や休みが増えたという方も居り、これからどうなってゆくのか全く見通せないが、組合員同士のつながりと、地域の運動体の連携を強めて今後に備えて行こう。(小)
◇豊能支部
何件か新たに相談もあり、解決に向かっているものもあり、このコロナショックで進行していないものもありというような状況です。とにかく大不況=大失業の時代が到来することは確実で、今こそ我々のような個人加盟のユニオンの真価が問われていると思います。みなさんも職場の雰囲気にアンテナを張り巡らして、何か問題が起こったときにはすぐに連絡してください。(鈴)

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