北大阪ユニオンニュース№227

北大阪ユニオンニュース№227 2020年8月

止まらぬコロナ感染拡大―あらゆる方策を講じ
労働者の生活と権利を守り抜こう!!

安倍政府も吉村大阪府政も無策無能

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。8月14日現在、国内の感染者は52,217名、死亡者1,073名。緊急事態宣言の頃をはるかに上回るペースで感染が拡大しています。
この状況で、反対の声を押し切って国内旅行を促す「Go To キャンペーン」を強行するとは、正気の沙汰とは思えません。しかも、このキャンペーンをゴリ押しした自民党の二階幹事長はじめ「観光族」と呼ばれる議員たちは、旅行・観光業界から多額の献金を受け取っていることも明らかになっています。そんな中、安倍首相は野党が求める臨時国会も開かず(憲法違反です!)、記者会見にも応じずトンズラを決め込んでいます。まるでもう、むちゃくちゃです。
大阪府でも感染者数は6,355名となり(8/14現在)、連日「過去最高」を更新しています。医療機関向けに雨がっぱの寄付を要請し大混乱を招いた「雨がっぱ一郎」こと松井大阪市長、科学的根拠も薄弱なままヨード系うがい薬でのうがいを府民に呼びかけた「イソジン吉村」こと吉村知事をはじめとする大阪府・市のコロナ対策のデタラメぶりは、失笑を通り越して国内外から強い非難を浴びています。当然でしょう。
組合が果たすべき役割は一層大きく
コロナの影響での倒産や失業も増え続けています。ワクチンも特効薬もない以上、終息がいつになるのか目途すら立たず、経済が受ける打撃は今後ますます大きく深刻になっていくことと思われます。安倍政府も吉村大阪府政も、無策無能ぶりをさらけ出している中、労働組合が果たすべき役割はますます大きくなっています。
正直なところ、北合同に寄せられている相談のうち、コロナが直接的に関係するものはあまり多くはないのが現状ですが、今後は必ず増えてくるでしょう。私たち北合同は、これまで通り、解雇・雇止め・賃下げなど個別の相談に対して丁寧に対応するのと並行して、関西そして全国のコミュニティ・ユニオン・ネットワークの仲間たちとともに、厚生労働省はじめ関係各方面への要請行動なども積極的に行い、労働者の生活と権利を守るために、あらゆる方策を講じていくつもりです。 (K)

中央最賃審の「凍結」=最賃据え置き答申に抗議する!

7月22日、厚生労働省の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)小委員会が、最低賃金について「引き上げの目安を示すことは困難」と答申しました。この答申に強く抗議します。
最低賃金は、毎年夏、まず中央最賃審が引き上げ幅の目安を示し、これをもとに各都道府県の最賃審が決定し引き上げられます。今回、中央最賃審が目安を示さず、事実上の「凍結」を答申したことから、今年は最賃据え置き、または1円から数円程度のごくわずかな引き上げとなる可能性が高くなりました。
審議会は、経営側代表・労働側代表・公益委員(有識者)から成りますが、報道によれば、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で景気が急激に悪化していることを理由に、引き上げの「凍結」を主張する経営側に押し切られたとのことです。
たしかに、業績悪化や倒産する会社が出ていることは事実ですが、経営余力のない中小企業に対しては、政府が助成金等で直接支援するとともに、独占禁止法や下請法をフル活用し、大企業・元請け・得意先企業が優越的地位を濫用することのないよう厳しく取り締まれば、最低賃金の大幅引き上げは可能です。
いわゆる「非正規」労働者の大部分は、最低賃金とほぼ同水準の賃金で働かされており、毎年の最賃の引き上げに合わせていくらか時給が引き上げられるだけなのが実態です。「今は最賃引き上げよりも雇用維持を優先すべき」というのであれば、時限的な「解雇禁止法制」を導入するべきです。現に解雇や雇止めが増え続ける中、最賃まで据え置くことは、もともと経済的余裕など全くない「非正規」労働者を中心に、生活破綻に陥る人がさらに増える結果をもたらすことになります。
「全国にコロナ感染をばらまく気か!」との非難の声を無視して強行した「Go To キャンペーン」の予算額は、なんと1兆7千億円! こんなバカげた金の使い方をやめ、最低賃金の引き上げと「解雇禁止法制」を強く求めます。(K)

要所要所に取り入れると効率良く仕事ができる~リモートワーク体験記

4月7日、政府から非常事態宣言が発令された。その翌日、会社から出勤禁止指示が出た。リモートワークとなった。営業なのに対面接客禁止? 慌ててアポのあるお客様にご連絡する。お断り連絡なのにご理解いただきスムーズに進む。いいのか悪いのか。次にご契約手続き。やり取りは郵送だ。書類の準備、作成に上司の許可を取り出社、郵送。返送された書面の手続きに出社。通常の手続きより手間暇がかかる。
その後は、既存のお客様フォローに徹する。お電話になるので、訪問のための移動がなく、ロスタイムがないので時間効率はいい。リモートワークのお客様も多いので、普段なかなか繋がらないお客様でも繋がりやすかったりする。思わぬ成果だ。しかし新規開拓活動不可! 致命的である。既存のお客様の中からご紹介いただけないか、それとなくお伺いする。活動再開時の準備だ。
それ以外は、社内コンテンツ、資料、動画など指示のあったものを中心に、日頃なかなか時間が取れず閲覧出来ていないものに目を通す。新しい発見もあり、なかなか楽しい時間が過ぎる。普段あまりできない事ができ、日頃を見直すきっかけとなった。リモートワークで営業というわけにはいかないが、要所要所に取り入れると効率良く仕事ができると感じた。(組合員・T〈保健会社勤務〉)

【労働相談から】

雇用契約書に転職禁止条項が…

保健師のKさん。健康保険の保険者から依頼を受けてレセプト(診療報酬明細書)の点検や、保健指導などをする会社で働き始めたのだが、雇用契約書に、同業他社への転職禁止条項があることが気になり、北合同へ相談。
これは「競業避止義務」と呼ばれ、法的には、在職中は有効だが、退職後については別途契約等を交わす等する必要があると解されており、契約で記載があるから自動的に拘束されることにはならない。そもそも、契約失効後のことを契約で縛ることなど不可能であることは、論理的に自明だ。実際、会社からも「円満退職なら問題ない」との説明があった、とのこと(ただし口頭のみ)。
この件は、すぐに何か動く必要があるわけではないのだが、前の職場でもちょっとしたトラブルがあり、北合同に電話相談をしていたKさんは、これを機に北合同に加入。当面、非公然で様子を見ていくつもり。(K)

【闘いの現場から】

《サンエール》嫌がらせを続けた末に「解雇」通知

豊中市内でケアプランセンターとヘルパーステーションを経営する株式会社。ケアマネとして働くTさんは、正社員(期限の定めのない雇用)だったのに、今年7月、突然「期限の定めあり。今年9月30日まで。更新なし」という労働条件通知書を手渡された。当たり前の話だが、雇用契約も「契約」の一種であり、内容の変更は双方の合意が原則。そもそも、無期契約と有期契約では全く別の契約なので、現契約を一方的に破棄して全く別の新契約に切り替えることなど許されるはずもない。実はこの「事件」には伏線がある。労務管理もデタラメで社会保険等にも未加入の事業所なので、昨年4月、せめて雇用保険だけでも加入してほしいと、スタッフ5人全員で会社へ要望、加入させることができたのだが、この一件の後、みんなの取りまとめ役だったIさんとTさんに、社長は細かな嫌がらせを始めるようになった。その延長線上に起こったのが、今回のTさん「解雇」事件である。
TさんとともにIさんも北合同に加入、7月の労働条件通知書の破棄と謝罪を求めて7/30に団体交渉を持った。ひとまず「通知書」は撤回させたものの、いったん目をつけた会社は簡単には引き下がらない。「Tさんは高齢でミスが多いなどケアマネ業務に耐えられない」として譲らず、次回交渉までに改めて「提案」してくることになった。次回交渉は8/24、さて会社はいったいどんな難癖をつけてくるか? 応援よろしく!(K)

《ユニバーサルロジ》契約通りに働いたのに雇い止め?!

Nさんは物流倉庫内での半日の軽作業の仕事に就いたが、最初から途中で転籍になり勤務先が変わる約束があった。しかし、実際に勤務先の変更が近づくと、会社はNさんが「半日しか仕事をしていない」として雇止めを通知。契約通りに仕事をしてきたNさんは会社に抗議したが無視され、変更先の勤務地には行くことができなくなった。組合は会社に対し、契約内容と矛盾した経緯についての説明と、Nさんの即時職場復帰を求めて要求書を送付し、団交を求めている。(小)

《イーディーピー分会》好調時にアップせずいつアップ?!

会社に夏季賞与1.5ヶ月分を求めて団体交渉を行ったが、残念ながら0.88ヶ月分の支給となった。「コロナ禍の中でも売上増で利益も大幅に増えているなら賞与アップは当然!」という至極真っ当な組合の主張に対し、会社側は「現状は業績好調。しかし今後コロナが影響する懸念があるかも…」と賞与アップに否定的で残念な結果となった。業績好調の時に賞与アップしないでいつアップするのか?
そもそも不可解なイーディーピーの賃金体系。高給取りの役職者は、ある程度の賞与が保障されている。にもかかわらず、なぜ基本給が低い一般従業員の賞与が将来の不確かな経営悪化の懸念を理由に減額されなければならないのか? 引き続き交渉を続けていくとともに、従業員の組合への参加を呼び掛けていく予定。(西)

《B社/S会》社会から退場させてやる、覚悟しろ!

大阪に本院を持つ美容整形クリニックを経営する医療法人の子会社での解雇事件。B社はすでに経営実態を失っており、“親会社”に当たるS会に団交を申し入れたところ拒否され、府労委に不当労働行為救済を申し立てて調査が進んでいる。B社の登記を改めて取り直したところ、なんとなんと、S会の代理人弁護士が社長に就任しているではないか! これでなお「B社は無関係」と言い張るつもりか?!
こちらからは、府労委への請求に「ホームページ上での謝罪文掲載」を追加して臨んだ8月4日の調査では、件のB社の社長に据えられた相手方代理人弁護士が初めて出席。労働側委員を通じて感触を探ったが、和解に応じるつもりは全くない、と。また、当該組合員Sさん個人を相手に、雇用関係不存在と雇用関係に基づく請求権の不存在の確認請求訴訟(と思われる)を起こすつもりである、とも。
上等だ! あくまで歩み寄るつもりがない、話し合いに応じるつもりがないというのなら、こちらも話し合い以外の方法での解決を目指すのみ! つぶしてやる! 社会から退場させてやる! 覚悟しろ! 反社会的企業を社会的に抹殺するために、組合員の皆さん、ぜひ力を貸してください!(K)

《T交通》ひとまずは以前の勤務体系に戻った

コロナ対応で実働時間が大幅に短縮され、売上が激減したために給与が最賃以下になってしまったが、Tさんより、7月1日より以前の勤務体系に戻ったと連絡があった。当分は様子を見た上で、減額時の賃金についてもどうするか考慮することになったようだ。(小)

【支部報告】

◇高槻支部

支部会議の前にJR高槻駅で「労働相談」ティッシュ配りを行った。6時頃の通勤時間帯で受け取りはそこそこ。7月5日のコロナ関連労働相談では相談の連絡がなかったので期待はしなかったが、やはりティッシュ配りの後も相談はありませんでした。休業等の影響による労働条件の悪化は関西でも拡大しているはずだが、相談の少ないのはどういうことなのか。
支部会議での学習会では、行政改革で公務員が減らされ役所が機能不全になっている問題を取り上げた。新型コロナ対応でも大阪市の保健所がパンクするなど多くの不備が生じている。また事業支援事務は本来公務員の仕事のはずが、竹中平蔵などの「政商」に奪われている。新型コロナ感染の拡大が止まらない中、何も有効な策を出せない安倍政権の下で電通や「政商」が裏で金儲けに暗躍し、貧困層がますます増加している。組合で取り組める問題を超えているが、働く者の声を皆でもっと挙げてゆかなければ。(小)

◇豊能支部

8月14日(金)の晩、お盆だが定例の支部会議をいつも通り行いました。米国の労働運動の改革を目指す草の根のネットワーク「レイバー・ノーツ」が発行した”Secrets of a successful organizer”(直訳するなら「オルガナイザー 成功の秘訣」)という本の日本語版を、日本労働弁護団が発行しています。その『職場を変える秘密のレシピ47』で紹介されている「職場マップ」づくりを、試みにサンエールでやってみました(進行は鈴木書記長)。職場の座席などの配置をマップ(図)によって可視化し、そのマップを見ながら、本人や所属長がどこにいて、本人と仲が良いのはAさんとBさんで、CさんとDさんは所属長の“犬”で、こいつらに何か話すと情報は会社にダダ洩れになる…というような話を聞くと、職場の様子・雰囲気がとても分かりやすくなると感じました。他の職場についても、いろいろ試してみたいと思っています。(木)