北大阪ユニオンニュース№229

北大阪ユニオンニュース№229 2020年11月

最高裁、基本給・賞与・退職金の格差是正認めず
地域の労働組合で職場の格差是正を進めよう!!

10月に、非正規雇用の正規雇用との格差是正を求める裁判の最高裁判決が3件続けてあった。
一つは大阪医科大学のアルバイト職員の訴訟で、正規職員の80%の基本給、賞与ゼロ、夏季休暇ゼロ、私傷病休暇の給与補償なし、社会保険自動脱退といった格差の是正請求は、「相違は不合理とは評価できない」として全て受理されなかった。もう一つ、東京メトロコマースの契約社員の基本給、賞与、各種手当、退職金、報奨金等の格差是正、損害賠償請求訴訟では、「不合理な格差とまでは言えない」として完全に退けられた。
特に、大阪医科大学の賞与について、正職員の48%支給という東京高裁判決を覆してゼロ支給を認め、メトロコマースの退職金について正社員の四分の一を認めた東京高裁判決に対し、組合の全額要求を退け、更に後退して退職金ゼロを正当化した。
金額の小さい各種手当は認める
また、郵便局の非正規労働者の訴訟では、住居手当、扶養手当、年末年始勤務手当、有休の病気休暇損害、夏季冬季休暇の損害等は認められたが、基本給、賞与、退職金の格差是正要求は認められなかった。金額の小さい各種手当については認められ「大きな前進」とは言えるが、金額も大きく格差の割合の大きい「夏季・年末手当(賞与)」は是正されていない。
マスコミでは「明暗が分かれた」と報道されたが、結局いずれの裁判でも共通しているのは、賃金の根幹部分であり他の企業への影響も大きい「基本給」「賞与」「退職金」については非正規格差是正を認めないということだ。これまで下級裁判所ではばらつきもあった判断を統一し、この「聖域」の格差是正には踏み込まないと決定したということだろう。「働き方改革」で「同一労働同一賃金」をめざす取組みが始まったと伝えられるが、司法の動きはこれに対抗しようとする経営者側に同調しているとしか見えない。
またこうした社会的格差の容認は、働く側にも「自助」努力が足りなかったから仕方ないなどの受入れ余地を与え、労働者の分断支配を許す結果をもたらしている。いつも仕事は正規社員より非正規の自分達にしわ寄せされると不満を持ちながら、転勤の可能性のある正社員より賃金は安いが契約社員の方がいいと思い、格差差別から目をそらせて何とか仕事を続けているという話をよく聞く。
格差差別を当然とする職場、社会をなくすために、地域の非正規労働者に組合加入を勧め、労働組合で会社と交渉し格差是正の闘いを更に進めてゆこう。

「安倍路線の継承」を掲げる菅政権の早期退陣を求めていこう!

8月末、「突然」の体調不良で、アベがまたしても政権を投げ出した。今になって振り返れば「突然」でも何でもなく、体調を口実にした仕組まれた辞任劇だったと思われる。モリ・カケ・サクラ(森友問題・加計学園問題・桜を見る会疑惑)に象徴される数々の疑惑に知らぬ存ぜぬを決め込み、うまくやり過ごしたかにも見えたが、政権に対する不信感は拭えないまま残っており、そこへコロナ禍への「無為無策」どころか、アベノマスクをめぐるドタバタ、持続化給付金でトンネル法人を迂回して電通へ丸投げ、感染再拡大傾向の中強行したGoToトラベルでは、自民党の二階幹事長はじめゴリ押し議員たちに旅行・観光業界から多額の献金…等々、この期に及んでなお税金の私物化・お友だち優遇を続ける政権の体たらくに支持率は急落。ワクチンも治療薬もない以上、局面を打開できる見込みはなく、ドン詰まり状況にあったアベは、惨めな末路を迎える前に、官房長官として自分の盾となり疑惑にフタをする役割を果たしてきた菅に政権を譲ったのだろう(恐らくは、辞任後に訴追されない保証を条件に)。
菅は「安倍路線の継承」を掲げ、森友問題で公文書改ざんを強要され自死に追い詰められた近畿財務局職員が死の直前までつづっていた手記が公表された件につき、「再調査はしない」と言い切るなど、当然ながら疑惑などなかったことにする姿勢。学術会議人事への介入では、「人事を握って圧力をかける」「警察OBの側近をフルに活用」という安倍政権お得意の手法を早速用いている。
菅は、経済政策についても「アベノミクスを継承・発展させる」と述べている。例外的少数の大金持ちとグローバル大企業に利益を誘導し、圧倒的大多数の人びとの生活はじわじわと厳しさを増す一方。労働政策でも、過労死レベルの労働時間を合法化した「働き方改革」、解雇自由化法制の企みをはじめ、労働者保護法制をご破算にし、単なる民法上の契約関係へ解消させてしまう(労使双方で合意すれば、これまで違法とされていたことでもOK)…という安倍政権の路線を、継承さらには「発展」させる、ということなのだろう。
私たち北合同としては、今後も、「目の前の労働者の具体的な要求」に立脚して活動していくことに変わりはない。ただし、一方で、私たちは今、どのような時代を生きているのか、大きな状況を把握しておく必要がある。私たち労働組合は、労働者の生活と権利を守り、「普通に働けば普通に暮らしていける」当たり前な世の中を目指して活動している。時の政権がそのための阻害要因となっているなら、政権打倒は不可避である。労働者の生活と権利を踏みにじる政権は、退場させねばならない。菅政権の早期退陣を求めていこう!

【活動報告】

老朽原発うごかすな ! 再稼動阻止 !!

9月6日の「老朽原発うごかすな全国集会」から、老朽原発の再稼働阻止のたたかいが続いています。2012年まで、原発は運転40年で廃炉にすることになっていました。しかし法改正があり、規制委員会が認めれば60年まで運転可能になっています。
現在、日本ではじめて40年超えの原発が再稼働するかどうかの瀬戸際にあります。その原発は福井県美浜町の美浜3号機、高浜町の高浜1、2号機です。40年にわたり放射線をあびた原子炉はもろくなっていて、多くの配管も亀裂が生じており、故障や事故の危険性が高くなっています。
そんな危険な美浜3号機、高浜1,2号機を関西電力は来年の1月から5月の間に次々と再稼働させようとしています。高浜町といえば元助役による、関電社員や役場職員への金品受領の問題が発覚し、いまだ全容解明に至っておらず、10月に市民団体による関電の告発状が受理されたところです。まともな経営もできない会社が原発を扱うのは危険すぎます。
11月初旬には高浜町議会が高浜1,2号機の再稼働推進の請願を採択し、美浜町議会もそれに続きそうな状況です。議会と町長が再稼働に同意すれば、再稼働に慎重と報じられている杉本福井県知事も同意しかねません。
そこで、11月23日から、中之島の関電本店前の抗議行動をスタートし、12月9日に美浜町の関電原子力事業部での抗議集会をゴールにしたリレーデモが始まります。
老朽原発うごかすな!の声を大きくし、再稼働を阻止しましょう!          (高木)

【闘いの現場から】

《ラミネート工業》存在しない総務部へ懲戒配転? !

4年前まで会社と闘ってきたIさんは、解決後に都合により組合を退会。しかし最近になって会社から業務態度に問題があると言われ、ろくに説明もないまま自宅待機を命じられた。Iさんは組合に再加入し様子を見ていると、会社は待機日を勝手に延長した挙句にいきなり懲戒処分通告書を出してきた。懲戒理由の殆どは事実と違う内容を含み、4項目については過去に会社から注意も警告も受けていない。Iさんは全く納得できず、組合から懲戒処分撤回を求め団交を要求。会社は更に懲戒処分通告の際のIさんのささいな発言の揚げ足取りをし、後日、就業規則違反で警告書を出し始末書の提出を要求してきた。組合はこれも会社のパワハラとして追及し、警告の撤回を要求。
懲戒処分の内容は製造部主査から製造部への降格だが、同時に配置転換命令書が出され、製造部から総務部へ配転となった。この会社に総務部はない。会社に業務内容を尋ねると、これから仕事を作るということで、追い出し部屋を想起させるような配転。更に総務部勤務の契約書では、降格分の役職手当の減額のほかに製造部での「着換手当」分も減額されていた。こうした手当を含めてようやく一般の給与に届くくらいに基本給が低く「着換手当」分は必須で、組合は相当額を保障するよう会社に要求。
Iさんへの不当な攻撃の中心人物は過去組合との交渉で妥結を強いられたS取締役で、それをずっと根に持っており、卑劣で陰湿な手段によってIさんを排除し、組合の監視を除いて会社を自分の思うままに支配しようとしている。組合はIさんを守り、再び劣悪な労働条件に戻されることのないよう職場を守る闘いを続ける。(小)

《ミノケン》改善すべき点が余りにも多くて…

箕面市内の建材会社。就業規則もなければタイムカード等による労働時間の管理もなし、始業時刻・終業時刻すらはっきりせず、残業代も支払われず年休もなし。全ては社長はじめ経営者一族の胸先三寸…という、ホンマに21世紀か?!という旧態依然ぶり。
正社員3名が北合同に加入、まずは年休付与と労働条件通知書の交付を求めたところ、弁護士が出てきて、一応それらしく整えたかに見えたが、よく見ると細部でおかしな点が多々残っている。改善すべき点があまりに多いので、何からどういう順番で求めていくか、組合員と相談しながら進めている。団交を申し入れているが、相手は交渉を避けており、これまではファックスでの書面のやり取りだけ。チマチマ文書のやり取りをしていたのでは、いつまで経っても進まないので、改めて近日中の交渉を申し入れたところ。 (K)

 

《B社/S会》合意書を締結しひとまずは終結

美容整倦クリニックを経営する医療法人S会の子会社でエステサロンを経営するB社での解雇事件。昨年6月末の事実上の解雇以来、1年半近くにわたり争ってきた。社長が雲隠れし経営実態を失ったB社を相手にせず、“親会社”に当たるS会に団体交渉を申し入れたが拒否され、労働委員会へ不当労働行為の申し立てを行い、S会からは雇用関係不存在確認請求の訴訟を起こされた。併行して、大阪市北区のS会本院前や理事長S氏の自宅周辺での街頭行動も続けてきた。
今年の夏になってようやく和解へ向けた動きがあり、その後も、S会顧問弁護士の怪しい動き(結局、後に解任されたらしい)など、紆余曲折はあったが、最終的に10月19日付で合意書を締結し、ひとまず終結。ただし、当該組合員Sさんが暮らす高知の労基署に申請している立替金払い手続きと、離職に伴う社会保険等の手続きが放置されたまま。それが片付くまで、本当の意味での終結はまだもう少し先だ。(K)

【組合員リレーエッセイ】

サンエール 岩見栄子さん ―高橋通代さん

今の楽しみはフリーテニスです
豊中市小曽根の「サンエール介護ステーション」でケアマネをしている高橋です。昨年4月、ケアマネ5人で会社に雇用保険加入を要求、少しもめました。加入できたものの逆恨みされ、何かと目の敵に。今年6月、年齢のことなどで一方的に有期雇用契約に切り替えられそうになり、岩見さんが教えてくれた北合同に相談、2人一緒に加入しました。団交で有期契約への切り替えは撤回させ、これまで通りに雇用継続。露骨な嫌がらせはなくなり、くすぶりながらも平穏に?仕事はできています。
今の楽しみはフリーテニス。8m×4mのコート、中央に高さ40cmのネット、ラケットは卓球用を縦長にしたような形、少し小さめのゴムボールで、ダブルスで対戦します。小学校の体育館で週1回3時間ほど、みんなでわいわい言いながら楽しく過ごすことを30年続けています。若い頃、メニエル病でよく寝込んでいましたが、近所の人に勧められてフリーテニスを始めてから、身体を動かし汗をかくことを覚えて元気になりました。時間のある時には数独などのパズルゲームも楽しんでいます。
スポ-ツを愛する自称サンディニスタ
高橋さんの同僚ケアマネ、岩見です。東京出身、とあるユニオンで活動していました。阪神淡路大震災の組合ボランティアを縁に1999年に大阪に転居。中米ニカラグア(90年に1年滞在)のサンディニスタ革命を心の支柱に、ラテンと猫(だけでなく自然・動植物・昆虫・魚)と酒(何でもOK!)とスポ-ツ(バレーボ-ル、剣道、今はバドミントン)を愛する自称サンディニスタ。あっ、嵐ファンクラブ会員でもあります。よろしくお願い致します!

【支部報告】

◇高槻支部

支部会議の前にJR高槻駅前でティッシュ配りを行ったが、手違いで短時間しかできなかった。新型コロナ感染が再び増加してきたというニュースの出始めだったからか、受け取りは良かった。11月の支部会議には組合に再加入して再参加のIさんを入れて8名の組合員が集まった。最近は高槻でも労働相談が増えてきて、会議ではIさんの問題を始め何件かの相談の話題で手一杯となった。
その中に派遣社員で、派遣先の店舗で対応した顧客からクレームがあり、一件のクレームも許さないという店舗方針のために解雇となり相談のあったHさんは、その後組合での交渉をとりやめることにした。派遣先店舗に一番問題があり、そこと直接交渉することが難しい点と、派遣元会社が親身に支援してくれて離職票の解雇理由も会社都合に変えてくれたこともあり、今回は断念します、と言ってきた。残念だが、確かに簡単に先の見通せる案件ではなく時間がかかる分負担が大きくなるので、こだわらずに目先を変えることも必要だろう。派遣労働者の場合は、直接の使用者が雇用責任を負わずに済むという問題が大きいが、今後こうした雇用形態が更に広がり、結局最後は金銭解決のみということになるのか。派遣労働者が安心して派遣先の職場で働くことができるよう、組合の実績を積み力を蓄えてゆこう。(小)

◇豊能支部

支部会議は毎月第2金曜夕方と第4土曜午後から行っていますが、12月は12/11(金)18時半~忘年会をやります。感染対策(恒例の鍋は中止。個々にお弁当を用意します。マスク着用、手洗い消毒)を取りながら行いますので、ぜひお越し下さい!(西)