北合同ニュース№222

北合同ニュース№222 2019年12月

「パワハラ防止法」は使用者を擁護する法律なのか ?!

5月に成立したパワーハラスメント防止関連法に基づく指針素案が10月21日、厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会に提示されたが、この指針素案に対して労働者側から強い批判が起きている。以下に全国労働安全衛生センター連絡会議からの抗議声明に則して問題点を指摘する。
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1.この指針素案では、パワハラについての裁判例をそのまま指針に盛り込もうとしている。

→民法上の不法行為とされないレベルのパワハラは対象にならないのか?

2.「パワハラに該当すると考えられる例/該当しないと考えられる例」を多数挙げている。

→これらは現場の実態を無視しており、少なくとも「該当しない例」はすべて削除すべき。

(1)パワハラに該当すると考えられる例
①「身体的な攻撃」の事例として「怪我をしかねな
い物を投げつけること」
②「精神的な攻撃」の事例として「相手の能力を否 定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相 手を含む複数の労働者宛てに送信すること」

→何故このような極端な具体例を挙げるのか?これ以外ならパワハラではないのか??

(2)パワハラに該当しないと考えられる例
①「身体的な攻撃」に該当しない事例として「誤っ てぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさ せること」
②「人間関係からの切り離し」に該当しない事例と して「新規に採用した労働者を育成するために短期 間集中的に個室で研修等の教育を実施すること」「処 分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる 前に、個室で必要な研修を受けさせること」
③「過小な要求」に該当しない事例として「経営上 の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業 務に就かせること」
④「個の侵害」に該当しない事例として「労働者へ の配慮を目的として、労働者の家族の状況等につい てヒアリングを行うこと」
⑤「個の侵害」に該当しない事例として「労働者の 了解を得て、当該労働者の性的思考・性自認や病歴、 不妊治療等の機微な個人情報について必要な範囲で 人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと」

→いずれもパワハラ被害者なら似たようなケースでのパワハラを経験している。これはパワハラの正当化、助長そのものに他ならない。
3.「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当せず、労働者が、こうした適正な業務指示や指導を踏まえて真摯に業務を遂行する意識を持つことも重要であることに留意する」

→適正な業務指示や指導を理解しない労働者の意識が悪いと言わんばかりのこの文言は削除すべき。パワハラを業務指示にすり替える加害者の常套手段を正当化する危険性が大きい。
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北合同ではこれまで多くのパワハラ、セクハラ問題に取り組んできたが、この指針素案の内容のひどさには呆れるばかりだ。これでは会社側やパワハラ加害者に「お墨付き」を与えるようなものであり、パワハラ防止法に一縷の期待を寄せていた被害者を全く裏切るものだ。
法案は2020年6月の施行予定だが、労働者の立場に寄り添うよう全面的な見直しを求めて大きく声を挙げてゆこう。 (小)

新書記長ご挨拶

みなさんこんにちは! この度の大会で執行委員から書記長に就任させてもらいました鈴木耕生です。現状の執行委員中心の組合運営から組合員中心の運営へと少しずつシフトしていけるよう、色々と工夫をしていきたいと思っています。また、組合を必要としている人と一人でも多くつながれるように、インターネットを使った広報を強化していきます。地域とのつながりも作れるように、お祭りへの出店や組合主催のイベントの実施など、いろんなことを試していきたいです。今ほど労働組合が必要とされた時代はかつてないと思います。やれることはたくさんあります。より良い世界、より良い人生のために、共にがんばりましょう!

【活動報告】

声をあげよう ! 弾圧許すな ! 11/16全国集会

すでに何度かお伝えしてきた通り、全日建連帯労組関西生コン支部が、国家権力による異様な大弾圧にさらされています。ストライキをしたら「威力業務妨害」、日々雇用労働者の正社員化を要求したら「強要未遂」といった具合に、全く正当・当然の組合活動を犯罪にでっち上げて、組合員を次々と逮捕する許しがたい弾圧です。
11月16日、大阪市内にて、抗議集会が開かれました。北海道から沖縄まで、労働組合はもちろん様々な市民運動関係者1200名が参加し、抗議の意思を表明しました。北合同からも5名が参加し、集会終了後は大阪地裁までデモ行進しました。
沖縄では、新基地はいらないという民意を何度も示しているのに、反対する住民を警察が実力で排除して工事を強行しています。「あいちトリエンナーレ」では政治家がヘイト発言を繰り返し、これにあおられた脅迫に屈して展示が中止に(のち再開)。今夏の参院選では、安倍首相の街頭宣伝で「安倍辞めろ!」と叫ぶ市民が警官によって羽交い絞めにされ排除される事件も。一切の異議申し立てを許さないという社会の空気は異様そのものです。
私たち北合同は、今後も、労働者の、市民の権利を守るために、関生支部とともにたたかいます!(K)

《コミュニティユニオン・ネットワークより》

CU全国ネットワークで厚生労働省ほかと交渉

12月2日、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークが毎年12月恒例の省庁交渉(厚労省、総務省、人事院)を行い、北合同からは木村が参加しました。パワーハラスメント対策、最賃審の運営、有期雇用労働、パート労働など9つのテーマ・34の項目について事前に文書で申し入れ、当日は回答を聞いた上で、再質問や意見を述べました。
全体で2時間ですが、多岐にわたりたくさんの項目があるため、それぞれについてあまり突っ込んだやり取りはできません。しかも回答とも呼べないような回答ばかり。「外国人労働者を雇用する場合には母国語で就業規則をつくること」という要望項目は、一昨年・昨年に引き続き3年目ですが、今年またもや「即答できないので持ち帰らせていただきます」と言われた時には、タメ息が出ました。「これでは埒が明かない」というのが率直な印象。私自身は3回目の参加ですが、省庁の対応は今までにも増してひどくなったように感じます。
今年はユニオンみえの外国人労働者も参加し、母国語での説明がないため育児休業が取れない人がいたことなどについて、国の役人に直接訴えることができたことは良かったとは思います。ただ、要請項目について前進を勝ち取るには、数か月から半年後ぐらいに検討状況をチェックする機会を設けないと、どうにもならないと強く感じました。(K)

「労働組合をどう作るか~希望連帯労組の組織化に学ぶ」

11/3(日)、なかまユニオン主催で「労働組合をどう作るか~希望連帯労組の組織化に学ぶ」という講演会があり鈴木、西川が参加しました。
韓国の希望連帯労組はわずか10年で組合員を100人から6000人まで増やしたユニオンで、組織局長のチェ・オスさん他を迎えて組織化の方法について伺いました。韓国では会社と交渉するためには過半数組合が原則など日本と違いがありますが、「支部、分会を作る前に従業員向けの説明会を開催する」、「可能な限り長期闘争は避ける」、「地域のユニオン以外の人との連帯を強化する」など北合同の活動にも参考にしたい内容も多く勉強になりました。(西)

 

10/27「とよなか市民力フェスタ」にイカ焼き出店

10月27日に豊中市の大塚公園で開催された『とよなか市民力フェスタ』に出店しました。『とよなか市民力フェスタ』は、豊中の地でいろんな問題に取り組んでいる人やグループが集まって毎年11月に開催しているお祭り。私たち北合同は初めて出店しました(たぶん)。今回で11回目だそうで、こじんまりとはしつつもお店の数は多かったり、ゆるい感じがちょうど良い。
私たちはイカ焼きで出店。北合同にはなぜか代々伝わるイカ焼き機があり、執行部メンバーはみんなイカ焼きが焼けます。ちなみに、イカ焼きとはイカの姿焼きのことではなく、イカの身を入れた粉もののことです。阪神のデパ地下のが有名。たこ焼きやお好み焼きのように形がととのってなくてもいいのがイカ焼きのイカしてるところ。食べ物屋だらけの激戦の中、どうにか完売しました。
労働組合が働く人たちから縁遠くなってしまった現在、組合の存在を知ってもらうきっかけとして、今後も積極的に地域のお祭りなどに出店していきたいと思っています。(鈴)

【闘いの現場から】

《イーディーピー分会》寸志ではなくボーナスの支給を!

人工ダイヤモンド製造業(本社:豊中市)。2年ぶりにイーディーピーに団体交渉を申し入れました。要求は、①賞与を月給2ヶ月分支給すること、②未整備の就業規則をきちんと作成し労基署に届け出ること。
就業規則は6年以上前から再三整備するよう求めてきましたが未だに放置されたまま。また賞与について、会社は経営難を理由にまともな額を(ほぼ寸志程度しか)支払ってきませんでしたが、ここ最近は黒字化しているとのことなので、寸志ではなくボーナスの支給を求めます。長年にわたり経営難が続いたのは経営者の責任。藤森社長!役員報酬を返納してでも従業員に還元して下さい! 交渉の経過についてホームページ、Twitter等で随時報告します。みなさん応援よろしくお願いします!(西)

食品新聞社労組の裁判への傍聴参加を!

食品新聞社労働組合は、会社の独断による印刷所移転に対する抗議活動に端を発し、会社からの様々な圧力に対して闘ってきた。平成30年には、府労委で団交での印刷所移転の説明が不誠実であったとして不当労働行為が認められた。また今年は、団交を大阪で開催するよう要求したが応じなかったとして、不当労働行為が認められた。更に組合は、パワハラ等による退職強要、組合つぶしに対して損害賠償請求裁判を起している。I組合員は北合同にも加入しており、裁判では多くの傍聴人の参加によって会社への徹底抗議の意思を示そう。公判は、12月20日(金)PM3時より、大阪地裁610号室。(小)

《B社/S会》交渉拒否なら労働委員会に申し立て

エステサロンを経営する会社と、その母体である美容クリニック(医療法人)。高知店閉店に伴う解雇事件。
B社はすでに経営実態を失い、社長は行方をくらまして事実上の解散状態。すでに事業はS会理事長の妻が代表の会社が引き継いでいる。実体のないB社は相手にせず、S会に交渉を求めているが全くなしのつぶて。一方、四国某県で暮らす組合員の生活支援は現地のユニオンが当たっており、同労組の紹介で弁護士とも相談、法律関係の気になる点についてはほぼクリアにできた。しばらく間が空いてしまったが、改めてS会に交渉を申し入れ、応じないようなら労働委員会に申し立てる予定。(K)

【労働相談から】

とっくの昔に直接雇用すべきだった…

50歳代の男性、派遣会社に雇用され、マンション管理人として1年契約の更新を繰り返して17年働いてきた。近く派遣先マンションとの契約が打ち切られることになり、別の派遣先を紹介されたが、マンション管理ではない全く別の職種で、勤務地も遠くなる。「そこしかない。嫌ならよその会社へ行ってくれ」と言われている。どうしたらいいものか?…という趣旨。
派遣法ができた当初(1986年施行)は臨時的で例外的なものだった派遣労働は、その後何度も「改正」を繰り返して適用範囲が拡大。同じ仕事は3年まで、3年経ったら直接雇用の申し入れができるという原則の「ぬけ穴」として使われていた、例外扱いとなる「専門26業種」は2015年改正で廃止されましたが、それといわば引き換えに、「直接雇用申し入れ権」も廃止。抜本改正が全くなされないまま今に至っています。
この相談の場合、現行法上は直接雇用の申し入れはできませんが、17年間も雇用されてきたわけですから、労働組合の立場からは、「本来、とっくの昔に直接雇用すべきだった」と主張し、派遣先に直接雇用を求めるのが正攻法。次善の策としては、派遣元会社に対してより良い条件の仕事を紹介するよう求める、または、紹介された仕事の条件の上積みを求めることになるでしょう。「詳しくは、手持ちの書類を持参の上、ぜひ事務所へお越しください」と案内しました。(K)

【支部報告】

◇高槻支部

今年ももう年末を迎えようとしている。この1年いろいろとあったが、何より執行部に若い組合員が参加するようになったのは心強い。老若お互いに肝胆相照らし、切磋琢磨してゆこうという思いはあるが、こういう言葉がそもそも通じないのだろうな。高槻支部の12月支部会議は、いつもと趣を変えて、若い執行委員提案の「ティッシュビラ配り」の準備作業を行い、そのあと忘年会とします。12月13日(金)午後6時より始めますので、高槻支部組合員の皆さん、是非出席して下さい。 (小)

◇豊能支部

豊能支部ではにわかに争議が活性化しています。団体交渉や街頭宣伝にぜひ参加をお願いします!▼12月13日(金)の18時から忘年会やります。持ち寄り歓迎、事務所にて。鍋食って温まって、新年に向けた英気を養いましょう!(鈴)

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